山中にひっそりとたたずむ古い洋館――。三年前、近くの湖で不審死を遂げた実業家朝霞千沙子が建てたその館に、朝霞家の一族が集まっていた。千沙子に育てられた映画監督峠昌彦が急死したためであった。晩餐の席で昌彦の遺言が公開される。「父親が名乗り出たら、著作権継承者とする」孤児だったはずの昌彦の実父がこの中にいる? 一同に疑惑が芽生える中、闇を切り裂く悲鳴が! 冬雷の鳴る屋外で見知らぬ男の死体が発見される。数日前、館には「訪問者に気を付けろ」という不気味な警告文が届いていた……。果たして「訪問者」とは誰か? 千沙子と昌彦の死の謎とは? そして、長く不安な一夜が始まるが、その時、来客を告げるベルが鳴った。
「山中の湖のほとりのひっそりとたたずむ古い洋館…」そんなキーワードだけで恩田ワールドにグググっと入り込んじゃいます。
人里はなれた山中の湖のほとりに建つ古い洋館。3年前に家業を継いだ朝霞千沙子が湖で亡くなった。そこに住む朝霞家の人々・長男の千蔵、次男の千次、三男の千衛、そして末っ子の千恵子とその夫・宮脇協一郎。お手伝いの更科。訳あって面倒を見ている10歳の女の子・愛華。千沙子に育てられた映画監督・峠昌彦の親友・井上は、カメラマンの長田とともに、その洋館にやってきた。
愛華は3年前に死んだはずの千沙子を見たと言うし、千次は「訪問者に気をつけろ」という手紙をもらっていた。井上は昌彦の弁護士だったが、雑誌の取材だと嘘をついて洋館にやってきた。そこにやってきた愛華の母親。彼女の行動も不自然だ。嵐が来て、家の外に死体が。インターフォンがなり、昌彦が子どもの頃から大切にしていた木彫りの象が置かれていた。次の日の朝早くに小野寺という役者がインターフォンをならし、嵐でがけ崩れが起き道がふさがっていると言う。小野寺は見知らぬ女性に頼まれて千沙子の姿になって前日に湖のあたりをウロウロしていたのだ。
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