オリンピックの身代金
奥田 英朗
昭和39年夏、オリンピック開催に沸きかえる東京で警察を狙った爆発事件が発生した。しかし、そのことが国民に伝わることはなかった。これは一人の若者が国に挑んだ反逆の狼煙だった。
語る人の視点が変わり、日付も前後しながら進む物語。面白かったです。昭和39年、オリンピックはもうすぐ。そんな時にどんどんきれいになっていく東京と電気もとまるような昔ながらの生活をする地方。東京で何不自由ない生活をする人達と地方で生きて行くのが精一杯の人達。その差に考えさせられました。
昭和39年。オリンピックまであと2ヶ月。オリンピック最高警備幕僚長の父を持つ須賀忠は神宮で行われる花火大会の日に自宅から火の手が上がったのを見た。ガス爆発だというが、その日父親に勘当された。
8月20日、警視総監宛に届いた1通の手紙には「オリンピックのカイサイをボウガイします。近日中にそれが可能な事をショウメイします」との手紙が届き、その二日後に須賀警務部長宅がダイナマイトにより爆破されたのだ。そしてその1週間後、今度は警察学校が爆破された。箝口令が敷かれた中で、公安部指揮の下捜査をする捜査一課の落合昌夫。
東大経済学部大学院生の島田国男は東京に出稼ぎ中の兄が亡くなり、工事現場に向った。地元秋田でのお葬式を終えた後、兄が働いていた現場で肉体労働を始めた。オリンピックに向けて華やかになって行く東京。そして働いても暮らしが全くよくならない地方。そして島崎はオリンピックを人質にして身代金を手に入れようと考える。
テロ犯となる島崎国男、彼を追う刑事の落合昌夫、島崎と大学でクラスが一緒だった須賀忠。そしてちょっと出てくる島崎の下宿近くの古本屋の娘。そんな人たちの話が時間を前後しながら語られます。
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