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「おわりの雪」ユベール・マンガレリ
おわりの雪
おわりの雪
ユベール・マンガレリ, 田久保 麻理訳


ベッドに寝たきりの父。ぼくは養老院で働いて得たわずかな収入で家計を助けている。古道具屋で売られてる鳥かごの中のトビに魅せられたぼくは、仕事の帰りに毎日のように店に立ちより、父には自分が創作したトビ捕りの話を聞かせるようになる。やがて冬がきて、トビを手に入れるため、ある仕事をすることになる。

「しずかに流れるみどりの川」もそうでしたが、音がない世界です。シーンと静かな中、聞こえてくるのはかごの中のトビがならす音と水道の蛇口から垂れる水滴の音。前回は草のトンネルが目の前に広がりましたが、今回印象に残るのは目の前に広がる雪の平野。氷の下の青い沼。そこを行きは犬を気にしながら、帰りはずんずん歩くぼく。

どんどん弱っていく父親。夜になって母親が外出する音が聞こえそうになると息子であるぼくに「トビ捕り」の話を聞かせてくれと頼む。トビが餌である肉を全部食べ終わると「おいおい、ぼうず、もう全部食っちまったぞ」という父。それに「まさか、上等なお肉なのになあ」と答えるぼく。そういう二人のおきまりの会話がすごく悲しいです。


一番印象に残った部分。

父さんがおだやかな声でいった。
「どういうふうにかわからんが、父さんはこれからもずっと、おまえといっしょにいるからな」
それは、ぼくの首をうしろからつき刺した。そして背すじをつたって下へ落ちた。ぼくはぱくぱくと口で息をした。それがさらに下へ下へと落ちてゆき、ついにひざまで達したのを感じたとき、ぼくの中はすっかりからっぽになった。声がでない。父さんがぼくの様子に気付いて、口ごもるようにいった。
「ああ、わるかった。ゆるしてくれ」
ぼくはなにか返事をしなければと思った。でもどうしてもできなかった。ぼくは頭をふった。いいや、父さんのせいじゃない。
| 本:海外の作家 | 22:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
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