絶賛された受賞作に、著者の最新最高の作品を合わせた花束のような短編集! 空港の国際線到着ロビーを舞台に、渦のように生まれるドラマを、軽やかにすくい取り、「人生の意味を感得させる」、「偶然のぬくもりがながく心に残る」などと絶賛された、川端賞受賞作。恋の始まりと終わり、その思いがけなさを鮮やかに描く「寝室」など、美しい文章で、なつかしく色濃い時間を切り取る魅惑の6篇。
やっぱり江國さんの小説、大好きって思える1冊でした。
たぶん「犬とハモニカ」が受賞したから出した本でいろいろな短編を集めてきたんだろうけど「夕顔」はここに入れてほしくなかったなぁ。
「犬とハモニカ」
シアトルから帰ってくる妻と娘を迎えに行く男は娘のぬいぐるみを車に積むのを忘れた。日本でボランティアの仕事をするために成田行きに乗っている男の子。イギリスに嫁に行った娘家族を尋ねた帰りの年配女性。そして母親と旅行をして帰ってきた娘。そんな人たちが成田空港の帰国便ロビーで行き会わせた。
「寝室」
テレビプロデューサーの文彦は、彼女に別れを告げられ帰宅した。五年越しの不倫相手の理恵との別れのショックから立ち直れない。
文彦は結局理恵の事を何一つわかっていなかったのか?男の人って…
「おそ夏のゆうぐれ」
一人で過不足なく暮らしていた志那。満ち足りていたはずなのに、今は常に彼の視線を気にして生きている。一人っきりの部屋で彼との旅行について思い出す志那。それは何とも甘美な日々だった。
実は
「甘い記憶」に入っていて読んだことがあった物語だったのに、全然覚えてなかった…
一人で快適だったのに、好きな人ができたら常にその人の事を考えてしまう自分にあきれてる。あきれながらも、でも考えてしまう自分って感覚。懐かしい。
「ピクニック」
まだちょっと寒いけど近くの公園でピクニックをする結婚5年目の妻・杏子と僕。ピクニックは僕らの趣味だ。最初は杏子が外で何かを食べたいといったのが始まりだった。
僕の質問にまったく意味のわからない返答をする杏子。たとえばピクニックに満足した僕が「幸福だ」といえば「いいわ」と答える。「なぜピクニックが好きなのか」と聞けば「外で見る方が、あなたがはっきり見えるから」と答える。そして「ピクニックをすると孤独じゃない感じがするでしょう」と。この杏子の返答が実に江國さんらしくて、わくわくしちゃいます。
「夕顔」
六条の女が待っていることはわかっていたが、かつて世話になった乳母が病み衰え、出家して神だのみをするまでになったと聞けば、彼としては見舞わないわけにいかない。門があくまでの間、隣の家を見ていたら見つけた白い花。
『ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ』の中の一つだったと思います。
「アレンテージョ」
これは
「チーズと塩と豆と」に入っていた物語。
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
⇒ 式神自然数 (10/21)
⇒ アスラン (04/07)
⇒ 脱皮中 (11/10)
⇒ 三角点 (10/20)
⇒ 鶯張り (10/02)
⇒ ゆっぴ (09/26)
⇒ かぶの入門 (06/12)
⇒ 由紀 (03/16)
⇒ 秋緒 (02/02)