エリート銀行員の仁藤俊実が、意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。
犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。
周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。
さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。
仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?
川で母娘が亡くなる水難事故が発生した。事故だと思われていたその事件だったが遠くから見ていた人の通報により、事故当時その場にいた夫・仁藤俊実による妻子殺害事件だったことが判明。最初は否認していた仁藤だったが、妻の爪から仁藤の皮膚が出てきた事で犯行を自供した。仁藤の犯行の理由が「本が増えて手狭になったから、妻子を殺した」というものだった。
そんな常識を逸した犯行動機からこの事件はネットを中心にした大騒動に発展することになり、事件に興味を持ったある作家が事件の関係者や過去に仁藤と関わりを持った人物などに取材を行うことによって、仁藤の背景と過去を再構成しようと思った。
そんな風に始まる物語です。最初はもうすっかりだまされて、その作家は貫井さんでそんな事件があったんだって思ってしまいました。すぐに気が付きましたが…
仁藤自身は美男子で頭がいい。いつも大人で微笑みを絶やさない人。仁藤を知る人だれもが「なんで彼が妻子を殺したのかわからない。」「冤罪じゃないのか」という。ところが、チラチラと暗い部分が見えるのです。行方不明になっていたかつての同僚が白骨化して発見されたり、大学時代の友人が事故死してその友人がもっていたゲーム機と同じものを仁藤が持っていたり、子供のころは犬を怖がっていたんだけど犬を飼っていたお隣のご主人が事故死したり…と仁藤の周りには不審な死がいっぱい。
ラストを「わかりやすいストーリー」にしなかったのはわざとなんだろうなぁ。
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