鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない―。これは“古書と絆”の物語。
あっという間に読み終わりました。今回は本にまつわる謎解きよりは出奔してしまったお母さんにどんどん近づいていくって感じ。お母さんがヒトリさんに出したカードには五浦がビブリア古書堂で働いている事も書いてある。
ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(集英社文庫)
常連客に絶版文庫の棚が充実していないと言われた栞子は五浦と古書市場に出かける。所属組合の市場で一般には非公開の市場だった。入り口で古株の古書店主<ヒトリ>さんこと井上に睨まれる栞子。どうやらヒトリさんは栞子の母親と何かあったらしい。会場では知り合いの古書店主レンジョウに案内された。絶版の「たんぽぽ娘」が入っている山を見つけ入札するも、ヒトリさんに負けてしまう。帰ろうとしたところ「出品したものを持ち帰れ」との声がかかる。しかし今回二人は出品していなかった…さらに翌日、ヒトリさんが落札した本から盗難されたものがあるという話を聞いた。それは「たんぽぽ娘」だった。
『タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの』
正月休みの最終日、五浦は電車の中で坂口の妻から声をかけられ、相談を持ちかけられた。坂口は子供のころに読んだ本のタイトルが思い出せないという。「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいな本」だというが書名も著者名もわからないという。実家に探しに行きたいのだが、もともと疎遠だった実家との関係が、坂口との結婚でますます悪くなったというのだ。坂口に付き合って実家に行った2人。
宮澤賢治『春と修羅』(関根書店」)
母・智恵子の旧友・玉岡に呼び出される栞子は五浦と共にその家へと向かった。亡くなった玉岡の父親はビブリア古書堂の客だったという。書斎へと案内され宮澤賢治の「春と修羅」の初版本を見せられる。そして玉岡は栞子に母親と同じことができるかと聞いた。書斎にもう1冊あった「春と修羅」が盗まれたというのだ。
プロローグとエピローグは『王様のみみはロバのみみ』というタイトルで妹・文香が日記のようなものを書いています。ラストでその日記が何なのかわかるのですが…「クラクラ日記」を買い漁ってる栞子、かわいそうじゃないか…
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
⇒ 式神自然数 (10/21)
⇒ アスラン (04/07)
⇒ 脱皮中 (11/10)
⇒ 三角点 (10/20)
⇒ 鶯張り (10/02)
⇒ ゆっぴ (09/26)
⇒ かぶの入門 (06/12)
⇒ 由紀 (03/16)
⇒ 秋緒 (02/02)