編集者の古川真也は、幼い頃から触れたものに残る記憶が見えた。ある日、同僚のカオルの父親が、20年ぶりに帰国する。彼はハリウッドで映画の仕事をしているはずだったが、真也に見えたものは――。表題作ほか、実際に上演された舞台に着想を得て執筆された「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」
子どもの頃からものに宿る人の思いを感じることができる古川真也。その能力があるからこそ編集者として作家の気持ちに寄り添うことが出来る自分を「ズルをしてるのではないか」と思っている。そんな真也の同僚・カオルの父が20年ぶりにアメリカから帰国するという。カオルの父・白石春男はアメリカでHALという名前の脚本家で今話題の映画の脚本も彼が中心となってやっているらしい。真也たちの作っている雑誌がその脚本家の特集を組もうとインタビューの場を設ける。カオルは真也に空港に一緒に行ってほしいと言う。そこで、明らかになった脚本家の心情と真実。
空港で父親からカオルへの手紙を手にした真也はそこにこめられた強い思いに驚きます。二十歳の時に父親から送られたという時計にはそこまでの思いはこめられていない。編集部に行くと編集長はDVDに乗っていたHALの顔と白石が別人だと言うのです。
お父さん、そうなの?って感じですが、これはなんと言ってもカオルの母親がすごい人なんじゃないかなって思いました。私だったらずっと見ていてくれる人にフラフラとなりそうですが…
「ヒア・カムズ・ザ・サン parallel]
『小説ポラリス』編集部に勤める古川真也は編集長から恋人・大場カオルとの結婚式には仲人をやらせて欲しいといわれる。結婚を前に自身の持っている不思議な能力を告白する真也だったが、それに対してカオルもまた秘密を告白した。「死んだ」と言っていたカオルの父親は生きていると言うのだ。脚本家だったが売れず、離婚の末一人渡米したのだが、20年ぶりに帰ってくるというのだ。一緒に迎えに行くはずだったが、カオルに仕事が入り一人で迎えに行く事に。カオルの父・白石は実に情けない男だった。
お父さん、本当に情けない。カオルが怒るのも無理ないです。
私は「parallel」より最初の物語が好きだったな。
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