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「嫌な女」桂望実
桂 望実
光文社
(2010-12-16)

JUGEMテーマ:読書
 

生来の詐欺師・夏子は男をその気にさせる天才。口癖は「これで終わるような女じゃない」。 がむしゃらに勉強だけをして弁護士となった徹子は、いつも虚しさを感じている。同い年で遠戚、たびたび夏子のトラブルの始末をさせられる徹子。したたかな女と不器用な女が向き合いみ締める人生を描く、桂望実、2年ぶりの長編!

分厚い本で読めるかな?って思ったんだけど、主人公の徹子と徹子に弁護を頼む夏子が年を取るにつれて考えややる事などが変わっていく様子が面白くてあっという間に読んでしまいました。

楽々と司法試験に合格し弁護士となった徹子は個人弁護士事務所のイソ弁として働き始めます。手がけた最初の仕事が遠縁で同い年の嫌な女・夏子の弁護でした。男にモテる夏子は結婚詐欺を重ね男のところを転々とする日々。そして男に訴えられ、徹子に連絡をして来た。そんな2人の約50年の物語。

それぞれの章は夏子が徹子に弁護を依頼する形で始まる。徹子は毎回夏子が起こした詐欺について調べ、周りの人の話を聞き、相手とじっくり話をして示談に持ち込む。

とにかく夏子がすごい女の人なんです。子どもの頃から男の人の注目を集めることが上手く、子どもの頃一緒に夏休みを過ごした時にはおそろいのワンピースを作ってもらったのに「似合うのは自分だ」と徹子のワンピースを破き、さらには泣いて周囲の同情を引いてしまったという夏子。自分はハーフで父親の顔は知らないと嘘をつき、女性からは嫌われ、男性からは好かれる。「この人にはこう言ってあげると喜ぶ。この人はこんなことがして欲しい」そんな事を見抜くのが上手いのです。「100万円あったら何がしたい?」「今までの人生で楽しかったことを10つあげてみて」相手にそんな事を言って楽しい気持ちにさせる。訴えた相手は徹子と話をするうち、夏子と出会えて幸せだったと思い気持を収めてしまうのです。

徹子は子どもの頃から生きていけないほどの空虚感に襲われ、誰とも親密になれないことにコンプレックスを抱いています。毎回、夏子に振り回され夏子のいい加減さに呆れかえるのですが、年を重ねるうちにそんな夏子を応援するようになります。夏子が年下の同じような女の人に騙された時には「夏子はそんな人じゃない」と思ったりもするのです。読んでいる私も同じように最初は夏子って…って思ってたのですが、よし!いいじゃない!!!なんて思えてくるし、インタビューした人が「おばあさん」なんていうと「違う!」って思ったりしたのが不思議。

子どもの頃から空虚感を感じていた徹子は病院で内縁の妻として献身的な看病を続け、遺産をもらい遺族から文句を言われた夏子に頼まれ病院で話を聞くうち、余命いくばくもない人々の遺言状を預かる事になります。そして人生への向き合い方を学ぶのです。

弁護士事務所で上司である荻原に「まず、腹が立ったことを聞き、それからおやっと思ったことを聞き出す」とアドバイスされた徹子はその通りに周りの人に聞きます。そしてインタビューを終えて帰ってくると事務員のみゆきに話をするのです。荻原も徹子もみゆきが見たこと感じた事をとても大切にしているのです。その3人のチームワークが素敵でした。

弁護士の勉強会で知り合った坂口と結婚し、坂口に好きな人が出来たからと3年後に離婚を切り出され、それからも仕事が終わった後電話などで話をする仲。兄が遅くに結婚をした時には夫でもないのに親族席に座っていました。

話が進むにつれ、みんなの年齢が上がってきます。徹子が40代の時には事務所に新人が入り、60歳間近になって今まで年配の人がはくと思っていた靴をはいたほうが楽だという事実を受け入れるのに売り場で30分かかったり、みゆきさんが引退をしようかと思うと言い出したり…すごく寂しくなります。夏子でさえ、自分より若い女の人に騙されたと言ってるんです。

みゆきが亡くなり、荻原と坂口が徹子の家にやってきます。時間前だというのに所在なさげに喪服で座っている3人が寂しかったな。みんな年老いていくんだけど、ずっとそのままでいてくれたらいいのにって思いました。みゆきの姪が受け取った遺言書。「焦って友達を作ろうとしたり、世間に擦り寄ろうとしなくていいのよ」 「一人で、なにが悪いのって思ってなさい。 それでも必ず、親友って、できちゃうものなのよ」この言葉はジーンときました。

| 本:か行(桂望実) | 21:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
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