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「夏目家順路」朝倉かすみ
朝倉 かすみ
文藝春秋
(2010-10)

JUGEMテーマ:読書


夏目清茂七十四歳、本日脳梗塞のためめでたく昇天いたしました。「どこにでもいるただひとり」の男の一生を、一代記とは異なる形で描いた傑作長編小説。

朝倉さんの文章、毎回「好き」って思います。言葉の選び方、読点の位置がいいのかな。リズムがあります。

ブリキ職人の夏目清茂・74歳が急死した。妻とはずいぶん前に離婚していてひとり暮らしだ。清茂が倒れたのは行きつけのカラオケスナック。同席していたのは娘と同級だった近所の中年男・光一郎。連絡を受けた息子・直とその妻は病院に駆けつけるが、直の姉・素子にはなぜか一晩中連絡がつかない。

一番最初に語るのは夏目清茂。昭和十年一月一日生まれ、蕪に似た顔をしてカパーッと笑うおめでたい男。北海道の小さな街で生まれて親戚に引き取られ、札幌に出てきてからブリキ職人として一人前になるまで。思い出すのは娘・素子が4歳の頃野球チームの監督をしていた事。その夏目清茂は74歳でこの世を去った。

清茂の息子・直は深夜父が病院に運ばれたと連絡を受け、妻と慌てて病院に駆け込む。3歳年上の姉の携帯に連絡を入れるが、姉は電話に出ない。父が亡くなり、喪主として葬儀屋との打ち合わせをする。

色々な事を決めながら、ふとした瞬間に父親のことを思い出して寂しさの発作に襲われる直。なんだかわかるような気がします。

娘・素子はその頃弟の同級生とホテルにいた。18歳の時、好きな人が出来たと言って父親に殺されそうになり、1年後に出て行った母と同じ事をしている。

子どもの頃から直のことばかり大切にしていた母を素子は嫌っていた。だが、そんな母親と同じ事をしている。でも、どうしたってとめられない自分の気持ち。そして母をちょっと理解したような気がするのです。

夏目家順路という看板を見ながら葬儀場に向う香奈恵にとって清茂は大叔父だ。清茂が倒れたスナック「向日葵」のママふみえは葬儀場で涙が止まらない。そして考えるのは自分に向日葵をくれた男のことだった。

身内じゃない人って葬儀に出ると、色々な事考えるんですよね。それにしても香奈恵の父親で清茂の甥の子は気に入らないわ!

素子の夫は素子がなにかに夢中になっているのはわかっている。それは彼女が仕事を辞めてからだ。だが、彼女は自分の元を去らないことはわかっている。だって…

夫婦って言うのは相手が何かヘンだってわかるものなんです。わかるけど、でも僕は幸運だったというんです。妻は自分の元を離れていかない、いけないと。その夫の心、怖いです。怖いけどわかる気もする。

素子の同級生で清茂に病院まで付き添った光一郎は「通夜顔」をして葬儀に参列する。心の中で清茂さんに話しかけながら。

この48歳独身男の「通夜顔」には笑いました。

野球チームに入っていたトッチは誰に名乗ることもなく、当時の試合に思いを馳せている。

ヤクザのお兄さんがトッチの面倒をみていた清茂の所に怒鳴り込むのを清茂の回想シーンで読んだのですが、あのトッチが医者に!と嬉しくなりました。

中一になったばかりの詩織はおじいちゃんのお葬式でみんなが「向こう」と読んでいるおばあちゃんに初めて会った。おじいちゃんの死はさつばつとしていると思う。

この詩織の章は素晴らしいと思いました。始めてみるおばあちゃんがくれたコンフィが効いてる。

| 本:あ行(朝倉かすみ) | 21:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
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