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「小暮荘物語」三浦しをん
三浦 しをん
祥伝社
(2010-10-29)

JUGEMテーマ:読書


小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。空き室あります!安譜請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです。うまい、深い、面白い。三拍子揃った会心作。

ずいぶんと平凡なタイトルだなって思ったけど、しをんさんはやっぱり面白いのです。7話からなる連作短編集ですが、2話めの年をとった大家が「セックスがしたい」と悶々と悩む姿を読んでから、今回はそれがキーワードなのかと思いましたが、全然いやな感じはなかったです。

古びた小暮荘には6つの部屋がありますが、住人は4人。学生時代からずっと住んでいる女性、3人の男性と付き合う女子大生、陰気な社会人、そして大家の老人と庭に犬が一匹。4人が主人公の話と周りの人たちの物語。

各短編、それぞれ全く違った話だし、そしてちょこっとつながってるそれぞれの章の人たち。全く知らない人どうしだったのに、少しずつ話をしたりして仲良くなっていく様子がよかったな。

「シンプリーヘブン」
ある日、突然並木が訪ねてきた時、繭は半年前に合コンで知り合い、付き合い始めた彼・晃生と裸で布団の中にいた。並木は学生時代から付き合っていたが、3年前に突然いなくなってしまったカメラマン。それから並木が料理を作り、繭と晃生の帰りを待ち3人で食事をし、川の字になって寝る日々。

フリーのカメラマンで3年間も撮影旅行に行っていた並木。いかにもって感じの男の人です。繭が最初の女性で、今でもずっと好きで…って言うところが純粋。繭は突然並木が現れても動じる事なく穏やかに過ごす晃生の事が好きだけど、でも並木の事もやっぱり気になっているのかなって感じで、読んでいる私も心が揺れます。繭と晃生が寝ている和室に並木が入ってきて、繭の手をつないでねたって言うのがすごくかわいらしくて、それから3人で川の字で寝てるって言うのに「いったい、何をやっているんだか…」って思いました。

「心身」
癌で死を目前にしてた友人の尾身真に行ったら「嫁に「セックスしよう」と言ったら断られた」と聞いた小暮。それ以来、小暮は思春期の男子のように「セックスがしたい」と思っている。娘夫婦が同居を始めたのをきっかけに、小暮荘の空き室に移り住むが、これもセックスをするため。色々考え、2階に住む女性の彼氏にも情報をもらうが…

男の人っていつまでもこんな風に考えているものなのかしらね。まったく…

「柱の実り」
トリマーの美彌は通勤に使う世田谷代田駅で柱に水色の突起物を発見した。突起物はどんどん大きく育ち、最後には水色の男性器(しかも臨戦の構え)になった。が、誰にも見えないらしい。ある日、声をかけてきたその筋の人・前田にはどうやら突起物が見えるらしい。美禰がトリマーだということを話したら、ミネという犬がいる事を話してくれた。

前田がなんだかかっこいいです。常に舎弟が側にいるし、最後には3年間出張という事なので、そっち方向の人なんだろうけど、美禰に対する優しさが大きい!

「黒い飲み物」
繭が働く「フラワーショップさえき」のオーナー夫婦の話。仕事の合間に夫が置くの喫茶店から持ってきてくれるコーヒーが泥の味に感じる佐伯。33歳の夏、突然訪れた性欲は冬に夫の両親が亡くなったと同時に収まった。最近、夫は夜中の2時にコッソリ家を出て、4時頃帰ってくる。浮気をしているのか…

この話はちょっと身につまされるというのか、きついな。火曜日に薔薇を買いに来る女性に「喫茶店のコーヒーを飲んだら泥の味がした。作る人が浮気をしていると泥の味になる」と言われるのです。いわれなくたって夫が浮気をしているだろうって事は妻ならわかるんだけど、それでも核心をつかれちゃったらきついだろうな。繭と一緒に浮気の現場に乗り込んだ佐伯ですが、やっぱり許しちゃうんだね、結局…

「穴」
望んだ会社に就職できなかった神崎は家賃が安かったので就職を機に小暮荘に引っ越してきて2年。壁が薄いからか、階下に住む老人のテレビの音はうるさいし、隣か斜め下に住む女性が男を連れ込む声もうるさい。ある日、押入れに掃除機をしまおうと思ったら、壁に穴があいてしまった。どうせ誰も住んでいないからと隣の部屋も使う事にしたがほんの出来心で畳を上げて下の女子大生の部屋を覗き始めた。

神崎、かなり危ない人です。階下の女子大生が男を連れてきたり、一人でいるときにずっと覗いている。どんな方向に話が行くのかと心配したんだけど、下の女子大生がしたたかだった。「素顔の方が可愛いよ」は女性にとって禁句なんですね。へぇ〜。私、最近自分で「ちょっとまずいでしょ」って思うくらいお化粧をしない。若い頃からしていなくて、今更何をどうしていいのかわからない状態。そんな私なので「素顔の方がかわいい」なんていわれたことがないです。

「ピース」
神崎に覗かれている女子大生・光子の物語。光子は生理がなく、子供が産めない体。そんな光子の所に友人が生後1ヶ月の子供を置いて行った。

完全に穴をふさぐんじゃなく、紙を張って「時々は覗いてもいいよ」っていう光子ってどんな人?って思ったのですが、彼女は彼女なりに色々辛いことがあったのね。友だちが置いて行った子・はるかとの生活がずっと続くわけじゃないのはわかっていたけど、このままだったらいいのにねって思ってしまいました。神崎がいい人でした。

「嘘の味」
並木はストーカーにならないように気をつけながら繭の事を見ていた。そんな並木に声をかけてきたのが、「フラワーショップさえき」で火曜日に5本の薔薇を買うニジコ。ニジコは部屋が空いているから住んでもいいと並木に言う。繭が好きだが、でも呼ばれるって事は…と期待をしてニジコの家に行った並木だが、何も起こらない。ニジコは自分で作った料理しか食べないという。

並木、まだ繭のことを思っていたんですね。嘘をついた人が作った食べ物は砂の味がし、浮気をしている人が作ったものは泥の味がするというニジコは自分の作った食べ物が食べられなくならないよう、ストイックな生活をしているのです。並木が少しずつニジコのほうに気持ちを向けていくのが、なんだかちょっと哀しかったな。

| 本:ま行(三浦しをん) | 22:09 | comments(6) | trackbacks(6) |
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コメント
こんにちは^^
TBさせていただきました。
木暮荘に住んでいる人たちが個性的で、どの作品も面白かったです。
繭の三角関係の話が面白かったです。最後の作品が並木だったのもまた締まってよかったのかなと思いました^^
印象的だったのは光子の話でしょうか。軽い女の子かと思ったら^^;おじいちゃんとは仲良くなるし、子どもの面倒はちゃんと見るし、根はいい子なんだろうなと思いました。
| 苗坊 | 2010/12/02 9:43 AM |
苗坊さん、こんばんは。

小暮荘の住人も、その周りにいる人たちも本当に個性的でしたね。
川の字に寝ちゃった繭、なんともかわいらしい。
でも、最終章を読んでちょっと残念でした。
私はどうやら並木とどうにかなってもらいたかったようです。
光子、神崎が覗いていた時の印象とは全然違う子でしたね。
| なな | 2010/12/02 9:00 PM |
こんばんは。

最初、繭たちを中心にお話が回っていくのかなあと思ってたら、全然違いました。
最初え!?と思った人たちのいいところがだんだん見えてくるところが良かったです。

わたしも前田がええなあって。かっこよすぎです。
並木もお気に入りでした♪
| ちきちき | 2010/12/17 7:12 PM |
ちきちきさん、こんにちは。

繭の物語かと思ったら、小暮荘に住む人、そしてその周りにいる人たちの物語でしたね。
覗き会社員も男にいい加減な女子大生も、みんなそれぞれいいところがあって、よかったですね。

前田、いいですよね。美禰の部屋に上がっても、ちゃんとしていて「立派だ!」って思いました。

並木みたいに料理が出来て、一人のことをずっと見続けている男子、いいかもしれません。フラリとどこかへ行ってしまうのは困るけど。
| なな | 2010/12/21 9:31 AM |
ななさん こんにちは。
ちょっと危険は伴いますが、私は住んでみたい!と思いました。人情味あるふれるアパートですよね。
でも、全編エロくって、全然知らずに読んだのでびっくりでした(笑)
でも、嫌な感じがしないので、しをんさんの良いところですね(^o^)丿
| たかこ | 2011/05/14 11:19 AM |
たかこさん、こんばんは。

2話目でギョッとなりましたが
全然嫌な感じがなく、さすがしをんさんって思いました。

ここに住んだらのんびり出来そうですね。
| なな | 2011/05/14 8:01 PM |
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