20代はみんな私に優しくて、30代も大丈夫と思ってて。でもなんだか、気がついたら前に進めないよ……。高校生になった娘を持て余す彩子、ついに一人で家を買った可憐、ダメで強引で温かかったあの人の死を聞いた静子、よくわからない“愛”ってものを考えてみる茂絵。揺れる彼女たち八人の心を穏やかなユーモアに包んで描く連作集。
8人のアラフォー女性の物語。同世代の女性の物語なんだけど、物語なので色々なタイプの人がいます。一番最初の「カテイノキキ」があまりに平凡な主婦の物語で「なんだか普通かも・今回はあわないのかな?」って心配したんだけど、他の人たちの物語は面白かった。普通のアラフォーの物語なんて、身の回りにあふれているのでそれじゃぁつまらないんだよね。
好きだったのは「たこ焼き、焼けた?」と「象を数えて」
「カテイノキキ」
高校に入りバイトを始めた娘が中学までの服を捨てるという。もったいないので箱に詰め込み天袋にしまおうと思ったらミシンを見つけた。娘は金髪にしてセンスの悪い服を着ている。夫が誕生日に食事をしにいこうという。
「買い替え妻」
高校時代にバイトをしていた牛丼屋でパートをする悦子は3年前に略奪婚をした。10年間夫と住んでいた元妻の残した家具・電気製品の買い替えに意地を燃やす。パート先では先輩の高校生バイトから恋の相談を持ちかけられる。
パート先での高校生のとの会話がすごくいいんです。相手に対しては敬語で相手からはタメ口なのが笑えました。
「ズボンプレッサー」
娘は高校卒業と同時に出来ちゃった結婚をした。元夫は大学教授でテレビによく出ている。10年以上前に離婚したにも関わらず、未だに夫の不始末処理を押し付けられる元妻。
離婚して、娘も出て行った後一人暮らしをする40歳の自堕落な生活の物語なのかと思ったら、浮気性でだらしがない元夫にビックリ。
「町子さんの庭」
中古の一軒屋を購入した独身の管理職女性。近所中の人が庭を見てはヒソヒソ話をしている。
ラストはとてもいいんだけど、近所の人たちのおせっかいがちょっと煩わしかった。
「たこ焼き、焼けた?」
元フリーライターの主婦。幼稚園生の娘と大掃除をしていたら元上司だった一旗さんから借りたタコ焼き器が出てきた。そしてその日、夫から一旗さんが亡くなったと聞いた。
一旗さんが亡くなったと聞いてから、自分が仕事をしてきた時のことを思い出したり、一旗さんが自分に言った言葉を思い出す様子が素敵でした。
「象を数えて」
40歳過ぎてできちゃった婚の真紀。夫は週末も仕事に出かけ、夫が結婚前から住んでいた2DKのアパートにいつも義父と二人。
40過ぎての妊娠、結婚。付き合っている時にはすごく優しかった夫だが、仕事ばかりの日々。妊婦で夫不在の上に、あまりよく知らない義父との同居。そんな状況なんだけど、お義父さんがとってもいい人で、この先二人は仲良くやっていけるんだろうなってラストがよかった。腹が立ったときに「象が一頭、象が二頭」と数えて気持ちを落ち着かせるのが面白かった。
「まぼろし」
政治家駒坂の愛人を20年もやっている美鈴。旅行から帰ってきたら駒坂が選挙に落選したので愛人生活を終わらせなければいけないという。途方に暮れる美鈴は昔同じ愛人仲間で今は家庭教師の会社を経営している聡子に連絡を取った。
シルバニアファミリーにはまる聡子!気持ちはわからなくもないです。小さいものがこまごまと作りこまれていて見ていて飽きないんだよね。
「愛は苦手」
駅ビルに入っているリフォーム店で働く茂絵。同僚の遥は若い男子だが男の恋人がいる。ある日、幼稚園入園前の子供を持つ親が靴袋などを作れるかとやってきた。
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
⇒ 式神自然数 (10/21)
⇒ アスラン (04/07)
⇒ 脱皮中 (11/10)
⇒ 三角点 (10/20)
⇒ 鶯張り (10/02)
⇒ ゆっぴ (09/26)
⇒ かぶの入門 (06/12)
⇒ 由紀 (03/16)
⇒ 秋緒 (02/02)