CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
SPONSORED LINKS
ARCHIVES
CATEGORIES
カウンター
グリムス
MOBILE
qrcode
<< 「パンツ・パンツ・パンツ」上坂むねかず | main | 「宵山万華鏡」森見登美彦 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
「刻まれない明日」三崎亜記
JUGEMテーマ:読書


開発保留地区――10年前、街の中心部にあるその場所から理由もなく、3095人の人間が消え去った。今でも街はあたかも彼らが存在するように生活を営んでいる。しかし、10年目の今年、彼らの営みは少しずつ消えようとしていた。大切な人を失った人々が悲しみを乗り越え新たな一歩を踏み出す姿を描く。

「失われた町」と同じような消えた町にまつわる話。今回も面白かった。そして「失われた町」を再読したくなりました。


毎回、この世界とはちょっと違った何かがある三崎さんの物語。今回は街が消失した理由にもなっている気化思想の供給っていうのが面白かったです。「気化思想の供給管は電気や水道、下水道と同じく、都市インフラのひとつとして機能し、地面の下に網目のほうに張り巡らされている。余剰思念の抽出・再供給システムが確立したのは百年ほど前。余剰思念の体内蓄積による自家中毒を防ぎ、同時に均質化された気化思念を取り込むことによって体内浄化を促進するという名目。人々は定期的に供給公社の「抽出ルーム」を訪れ、献血でもするように、余剰思念を「抽出」する。抽出された思念は、いくつかの工程を経て気化され、地価に埋設された供給管を通じて各家庭に還元される。そんなシステムの余剰思念がこの街の地下秘密プラントに違法貯蓄されていた。必要な量の四十倍だった。それが突如異質化して一気に漏出したことから3095人もの人が消失したというのだ。」以前の「失われた町」では30年に一度、消失があるが原因がわかっていないとなっていたが、この町では突然の事故と言う感じです。

事件から10年。家族を失った人たちが失われた家族を思いながら暮らしています。今まで10年間、存在しないのに存在しているかのように図書館で本が貸し出され、ラジオ局にリクエストが届き、発着のないバスのライトが見えていたのだが、ここにきてその3000人の動きが少しずつ見えなくなってきた。そんな状況をどうやって受け入れようかともがく人々。

「動物園にヒノヤマホウオウを展示中とありましたね」とか「この町は既に「七階撤去」が完了していた…」とか、今までの三崎さんの世界がちゃんとそこにありました。
「序章 歩く人」
「あの事件」で、一人だけ消え残った者だった紗弓は十年ぶりに街に戻ってきた。そんな時に出会った男は、国土保全省・主任歩行技師だった。歩くことによって道路を守る技術者で、道路という概念を固定化しているという。一ヶ月かけて、この街のすべての道を歩く彼にお願いして助手として雇われた紗弓。

「第一章 第五分館だより」
図書館で働き出して二ヵ月半、ようやく仕事の流れもつかめてきた藤森さんは1週間西山係長と一緒に仕事をするように命じられた。係長は「担当者」だという。「あの事件」の場所にあった図書館第五分館はいないはずの人々が今も、本を借り続けているらしい。その貸出データを抽出し、家族のもとに届ける。それが「担当者」の仕事。ところが、今年になって本の貸し出しが少なくなっている。

「第二章 隔ての鐘」
開発保留地区と呼ばれている「あの事件」が起こった場所。俊の父親はそこで消えた。この街のごく一部の人だけに聞こえる鐘の音。保留区で異国の少女・鈴と出会う。鈴は「共鳴士」の修行者でこも街の音のゆがみの理由を探り、歪みを正すべくやって来たのだ。二人は鐘の音が歪む原因を追い始めた。

「第三章 紙ひこうき」
坂口さんがふと窓の外を見ると紙ひこうきが飛んでいた。屋上で女性が飛ばしていたものだった。屋上に座り、紙飛行機を飛ばす女性・持田さんは昔、バスの運転士をしていた。左手は「あの事件」の時から動かないそうだ。バスターミナルの一画に、閑散とした十二番乗り場がある。この乗り場から出発するバスは一本もない。だけど、遠くはなれた場所から走るバスの光だけが見える。

「第四章 飛蝶」
宏至は23歳、あの人と同じ年になったが、まだあの人には追いつけていないと思う。蝶を描き、宏至に素晴らしい音楽を教えてくれた彼女。今年に入ってから彼女が描いた蝶が姿を消すようになっていた。宏至は、彼女と出逢った場所で彼女から受け継いだ奏琴を奏でていた。そこに現れた女子高生。

「光のしるべ」
地下深奥部に気化思念貯蔵プラントが建造され、この街の住民に必要な気化思念の実に四十倍もの量が違法蓄積されていた。そして起こった「あの事件」黒田さんが危険を冒してプラントに入ったので、被害は3000人にとどまった。黒田さん本人は失われなかったが、プラントから出てきた黒田さんは人に顔を覚えてもらえなくなっていた。

「新たな序章 つながる道」
2年ぶりの街。新しく出来た道を歩くためにやってきた幡谷さん。
| 本:ま行(三崎亜記) | 22:13 | comments(2) | trackbacks(1) |
スポンサーサイト
| - | 22:13 | - | - |
コメント
ななさん、こんばんは。
「失われた町」と同様、大切な人を思う気持ちは悲しくて切なかったですけれど、全てが前向きな感じで良かったです。
歩行技師って職業の発想、すごいなぁと感心です。
| Spica | 2009/12/17 10:45 PM |
Spicaさん、こんばんは。

失った後、少しずつ元気になっていく人たちの物語。
忘れたくないと思いながらも、少しずつ記憶が薄くなり
新しい一歩を踏み出す。
よかったですよね。

歩行技師もそうですが、毎回三崎さんの発想には驚かされます。
| なな | 2009/12/18 10:29 PM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://nanamemo.jugem.jp/trackback/1805
トラックバック
三崎亜紀 「刻まれない明日」
刻まれない明日(2009/07/10)三崎 亜記商品詳細を見る 内容(「BOOK」データベースより) 「開発保留地区」―それは十年前、3095人の人間が消え去っ...
| ホシノ図書館 (本と映画の部屋) | 2009/12/17 10:47 PM |