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中島 京子
朝日新聞出版
(2009-08-07)
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昭和初期の林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説があの『FUTON』の気鋭作家によって現代に甦る。失業男とカフェメイドの悪だくみ、麹町の洋館で独逸帰りのお嬢様につかえる女中、麻布の変人文士先生をお世話しながら舞踏練習所に通った踊り子……。レトロでリアルな時代風俗を背景に、うらぶれた老婆が女中奉公のウラオモテを懐かしく物語る連作小説集。
それぞれの物語の後に「A tribute to...」って書いてあるから、何かへのトリビュートなんだとは思ったのですが、そうか〜こうなると元の話も気になるところです。林芙美子の「女中の手紙」吉屋信子の「たまの話」永井荷風の「女中のはなし」一応タイトルも書いておこう。
秋葉原のメイドカフェに通う老女すみが、隣り合わせた客やメイドさんたちに語る昭和初期の自分の過去の話。
最初に話すのがすみが女給をしていた時に出合った女中の話だという。昔メイドといったら女中の事じゃなくて亀戸の私娼窟のことだったとか。「女給」「女中」「メイド」なんかの言葉が混ぜこぜになっちゃって、どれがどの仕事なのか混乱しました。
日本が戦争に向っていく頃の物語。現在のすみはメイドカフェに居座り、隣に座る人に昔話を聞かせている。閉店になると同じアパートに住むメイドカフェで働くりなっちがすみさんを家につれて帰る。玄関をあけ、玄関でコートを脱ぎ、セーターとスカート、ひどく厚手の灰色のタイツも脱ぎながら進み、束ねてソファの背にひっかけ、床に脱ぎ捨てられたネグリジェを頭かひっかぶると、ベッドにもぐりこむ。なんだかすみさん、すごいのです。
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