18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で“合奏・合唱の娘たち”を指導していた。ある日、教え子のエミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。一枚の楽譜の謎に導かれ、物語の扉が開かれる―聖と俗、生と死、男と女、真実と虚構、絶望と希望、名声と孤独…あらゆる対比がたくみに溶け合った、“調和の霊感”。今最も注目すべき書き手が、史実を基に豊かに紡ぎだした傑作長編。
18世紀のヴェネチアを舞台にした物語。ヴィヴァルディはもちろんの事ピエタもあったし、アンナ・マリーアな実在の人のようです。なので、ノンフィクションなのかと錯覚してしまう。読み終わって、色々な女性の色々な気持ちを思い、おもいがけずため息が出てしまう。
18世紀のヴェネチアにピエタと呼ばれる慈善院がある。子供を育てられない母親が子供を捨てるスカフェータと呼ばれる場所があり、ピエタではそうした捨て子を育てていた。エミーリアとアンナ・マリーアも、ピエタに捨てられた孤児だった。ピエタでは音楽的な才能を持つ人間は優遇され、ピエタ内に設けられた音楽院<合奏・合唱の娘たち>で学ぶ事が出来る。アンナ・マリーアは圧倒的な実力の持ち主で、内外に多くのファンを獲得していた。指導者としてピエタと深く関わっていたヴィヴァルディ先生もアンナ・マリーアの才能を高く評価していた。エミーリアはアンナ・マリーアと親しかったというだけの理由で、ヴィヴァルディ先生の直接の指導を受けることが出来た。現在エミーリアは、ピエタを支える裏方として奉仕しているし、アンナ・マリーアは、<合奏・合唱の娘たち>の副長として、ピエタを引っ張っていく立場だ。
そして、ヴィヴァルディ先生がウィーンで亡くなったという知らせが届く。ピエタは、寄付で成り立っている施設だ。ピエタの娘ではないのに、ピエタの有力な後援者の娘だという理由で<合奏・合唱の娘たち>の練習に顔を出していたヴェロニカもそんな貴族の一人だ。ある日、エミーリアはヴェロニカのもとに寄付のお願いに行った。その時、ヴェロニカからある依頼を受ける。昔自分が詩を落書きしてしまった、ヴィヴァルディ先生の楽譜を探して欲しい。その楽譜が見つかったら多額の寄付をしようと言うのだ。
エミーリアはあてもないまま、一応楽譜を探す努力はしてみることにした。エミーリアは、それまで関わりのなかった人たちと会うことになるのだが…。
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
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