世界中が雨だったら
市川 拓司
本の帯に「ここにいるのはもうひとりの僕です。」「ここにあるのは、僕の永遠のテーマです。」って書いてあります。3つの短編。今まで読んだ物とはちょっと違う印象。
「琥珀の中に」
「世界中が雨だったら」
「循環不安」
3つの話はそれぞれ設定は違っているけど、世の中にうまく溶け込む事が出来なくて、そして愛を切望している。市川さんのブログを読んでいたからなのかもしれないけど、何となく市川さんの経験した、つらい気持ちがいろんな所にちりばめられているんだろうなって思いました。
誰にも助けを求めず、求められず、取り返しのつかない所に一歩一歩進んでいく。一瞬「ちょっと待って」と立ち止まろうとするんだけど、すぐにあきらめてしまう。「誰か、助けてあげて下さい」ってお願いしたくなります。救いのない話だけど、その中にもホッとする場面もありました。
「世界中が雨だったら」は市川さんが昔HPで発表した作品らしい。よくお邪魔するHPやブログには小説を書いていらっしゃる方が沢山います。その人達の作品もいつか本になったら素敵なのにって思いました。
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