喜嶋先生ほど、クリーンでサイレントに生きている人を、僕は知らない。「いいか、覚えておくといい。学問には王道しかない」先生がおっしゃった、この言葉は、僕の心に刻まれ、それから永く僕を導いてくれる道標となった。
読み終わってから暫く喜嶋先生のことを考えてしまいました。心がしんとなった。
僕は文字を読むことが不得意だったかので勉強が大嫌いだった。本が嫌いだった僕は4年生の時に区の図書館で興味をもっていた電波に関する本を探そうと思った。その1冊を読むことで得られた経験が、たぶん僕の人生を決めただろう。
数学と物理に興味を持っていた僕は、他の教科の苦手を補うため、その二科目が特に難しい大学を選び、現役合格。しかし、大学での授業内容は失望させられるものだった。
しかしその大学で、僕にとって大きな転機が訪れた……後の人生を変えることになった人物・喜嶋先生に出会ったのだ。
大学四年になって、卒論を書くために講座配属になった。僕は、半年前に赴任してきたばかりで競争率の低い教授・森本のところを希望し、配属に。しかし森本は、前の職場との掛け持ちだったことから、助手の喜嶋先生の世話になることになったのだが、早々に海外留学に行ってしまい、半年以上は親切な院生の中村の指導を受けることになったのだった。
やがて、彼が帰国。師事する中で、研究の、そして学ぶことの奥深さと面白さを知ることに……
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