卵の緒
瀬尾 まいこ
卵の緒
瀬尾 まいこ
「卵の緒」
自分は捨て子じゃないかと思っている育生。ある日、学校でへその緒の存在を知り、自分のへその緒を見せてほしいと母にお願いする。
「7's blood」
七子と七生。今は亡き父の愛人の子供が突然うちにやってきた。顔はそっくり。母が入院し、二人の共同生活が始まる。大人の顔をうかがいながら生きている七生が腹立たしい七子。
血がつながっていようが、いまいが関係ない家族の絆の物語。二つとももの凄く温かい。「7's blood」の中に
「幸せな家庭で両親の愛情をたっぷり受けて育った人間は揺るがない温かさを持っていて、時折それを滲み出させる」って文章が印象的でした。私がいつも思っていることだから。両親はきちんとそろっているし、愛情を受けなかったわけではないんだけど、子供の頃からずっと寂しがりだった。「愛情をたっぷり受けて育った人」ってすぐに見分けられるし、羨ましく思ってた。だから、この本の二つの話はとてもとても好き。あとがきに瀬尾さん自身も
「『家族』というものに憧れがあった。手に入らないとわかってるからこそ、焦がれていた。」と書いていた。瀬尾さん、ますます好きになりました。
それにしても、毎度の事ながら、瀬尾さんの本に出てくる食べ物は美味しそうです。外がカリカリで中がジューシーなハンバーグ。食べたい。「美味しいものを食べた時に、人間は二つのことが頭に浮かぶようにできているの。一つは、ああ、なんておいしいの。生きててよかった。もう一つは、ああ、なんておいしいの。あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今時分が一番好きな人なのよ」と君江さんが言う。そうそう、そうなんだよ。私は今食べさせたいって思う人がいないなぁ。
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
⇒ 式神自然数 (10/21)
⇒ アスラン (04/07)
⇒ 脱皮中 (11/10)
⇒ 三角点 (10/20)
⇒ 鶯張り (10/02)
⇒ ゆっぴ (09/26)
⇒ かぶの入門 (06/12)
⇒ 由紀 (03/16)
⇒ 秋緒 (02/02)