猫を抱いて象と泳ぐ
小川 洋子
天才チェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡の物語。廃バスに住む巨漢のマスターに手ほどきを受け、マスターの愛猫ポーンを掻き抱き、デパートの屋上に閉じ込められた象インディラを心の友に、チェスの大海原に乗り出した孤独な少年。彼の棋譜は詩のように美しいが、その姿を見た者はいない。なぜなら…
小川さんらしい静かな空気が流れる、この世の中からちょっと外れた場所で繰り広げられる物語。とにかく静かな空気が心地よくて、すぐに眠くなる。読んでる間じゅう睡魔に襲われて「本を抱いてソファーに眠る」私でした。小川さんの本って必ずこうなるのだ。
<親の名付けたごく平凡な名前>しか持っていなかった少年は巨大な体のためにデパートの屋上から出られないゾウ・インディラに親愛を抱く。次いで、壁に閉じこめられた少女ミイラに恋をする。廃棄されたバスで暮らす「マスター」の手ほどきでチェスを覚えた少年は、ミイラらと親密な対話を重ねる一方、チェスに熱中する。
チェス盤の下に潜り込み、駒の音を聞いて次の手を考えるリトル・アリョーヒン。海底チェス倶楽部でからくり人形の中に入り込んで打つチェス。人間チェス、白い鳩を肩にとまらせた美少女ミイラ、人形「リトル・アリョーヒン」を作った老婆令嬢。
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
⇒ 式神自然数 (10/21)
⇒ アスラン (04/07)
⇒ 脱皮中 (11/10)
⇒ 三角点 (10/20)
⇒ 鶯張り (10/02)
⇒ ゆっぴ (09/26)
⇒ かぶの入門 (06/12)
⇒ 由紀 (03/16)
⇒ 秋緒 (02/02)