どこから行っても遠い町
川上 弘美
男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ「平凡」な主婦とその姑、両親の不仲をじっとみつめる小学生、裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房……東京の小さな町で、ゆるやかにつながって生きる人々の、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。川上文学の真髄を示す待望の連作短篇小説集。
なんだか一つずつが、そして繋がりがすごく素敵な物語。ちょっと変わっていて、寂しがりやの人たちばかりが住む町ですが、読み終わって心が豊かになる感じがします。
商店街には魚屋や精肉店などがあり、たこ焼き屋「ロマン」と小料理屋「ぶどう屋」がある。バケツでいつも何か洗っているおばさん。恋多き男辰次さんのお隣に住む弥生さんの関係。弥生さんとバケツで洗っているおばさんはお友達だったっけ。占い師の男の人とロマンで働く女性は同じアパートに住んでいる。そしてなんと言っても魚春の平蔵さんと屋上に住む源さん、そしてそれを見守っている奥さん。色々な視点で見るそれぞれの生活がすごく面白かったです。
「長い夜の紅茶」の自分の事をきわめて平凡と言い切る時江さんですが、「難しいお義母さん」といわれている弥生さんによると「それこそ底の知れないところがある」らしく、なるほどそうかもな〜と思いました。弥生さんのところで鍋をやるのですが、時江さんが大根おろしを入れ弥生さんに褒められます。お鍋といえば大根おろしなのか。「夜の光」でも大根おろしでした。今度やってみよう!
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