千年樹
荻原 浩
百段の石段を登った高台にある、今は荒れ社となった神社。その神木だといわれている樹齢千年を越えるといわれている巨大なくすの木。くすの木の下で起こる「現在」と「過去」の出来事。
ジンワリと恐ろしいというのか、読み終わった後にいろんな影像が頭の中にチラチラ。そんな物語でした。樹齢千年のくすの木。ウロがあり、幹には人の顔のような瘤、根はタコの足のように四方八方に張り巡らされている。昔から木の下で遊ぶ子供がいなくなる事から「子取りの木」と呼ばれている。時々聞こえる鳥ような声、時々見える子供の姿…ものすごい存在感で本の中に生えています。
8つの短編なのですが、それぞれ現在と過去、繋がりのある二つの物語が交互に語られます。過去は木が生えるきっかけとなった出来事から、色んな時代。現在の物語は、日方神社が経営する幼稚園に最後に通っていた子供たちが小さい頃の物語から40歳位までです。あまりぱっとしない町ですが、幼稚園に通っていた子供たちは大人になってもその場所にいます。
やっぱりくすの木が生まれる「萌芽」の話が一番印象に残っています。「郭公の巣」は最後まで読んで意味がわかってから再読するとなるほど…です。
⇒ 数(自然数)は、幽霊である。 (11/17)
⇒ 式神自然数 (10/21)
⇒ アスラン (04/07)
⇒ 脱皮中 (11/10)
⇒ 三角点 (10/20)
⇒ 鶯張り (10/02)
⇒ ゆっぴ (09/26)
⇒ かぶの入門 (06/12)
⇒ 由紀 (03/16)
⇒ 秋緒 (02/02)