サウスポイント
よしもと ばなな
かつて初恋の少年に送った手紙の一節が、ハワイアンの調べに乗って耳に届いた。「ひとの人生を縫い上げる」キルト作家となった私は、その歌い手とともに、空と海と大地が接するハワイ島最南端の地「サウスポイント」を訪ねるが…。
読み始めたと単に「よしもとばなな」の世界にグワンと入り込みました。どこがどうって言えないけど、よしもとばななさんの描く文章って「よしもと節」ですよね。
主人公のテトラは幼い頃に風変わりな母と羽振りのいい父親と暮らし、大人びていたので友達がいなかった。そんな時であった珠彦君。彼の家族もかわっていて、母親はイタリア、父親はインドで暮らし、母親の恋人と二人で暮らしていると噂になっていた。そんな二人は惹かれあい、毎日一緒に過ごすようになった。ところが、テトラの父親の仕事がうまく行かなくなり、母と一緒に夜逃げをしたテトラ。珠彦くんに手紙を書き、東京を離れた。東京・群馬と離れてはいたけど時々会っていた二人だが、お母さんの都合でハワイに移住した珠彦君。テトラにも辛い時期がやってきて、疎遠になった。大学を卒業して、キルト作家となったテトラはスーパーで流れていたハワイアンミュージックの歌詞がかつて珠彦君に自分が送った手紙の一節だと気がつく。アーティストの名前はハワイ在住のヨシムラユキヒコ。珠彦君と同じ苗字だ。
メールを送ってみたら「連絡が遅くなってすみません。日本に行くので会えませんか」と返事が来た。幸彦君を待っている時に感じた珠彦君はもうこの世にいないんだっていう思い。やって来た幸彦君は珠彦君の弟だと言い、珠彦君にそっくり。そして珠彦君は急性白血病で亡くなったという。珠彦君のためにキルトを作って欲しい。一度ハワイに来て欲しいと言う幸彦君。
ハワイ島。久しぶりに会った珠彦君のお母さんは全然かわらない。が、珠彦君の話を聞かせてくれというとなぜか話がかみ合わない…そして、幸彦君がテトラを迎えに来た。
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